2024/09/11 (更新日:2024/09/11)
伝統鍼灸医学の治療について
伝統鍼灸医学の治療について
陰陽の平衡がとれているのが健康状態であり、疾病はこの陰陽の平衡が失調している状態である
と考えています。このため、治療原則は陰陽を調えることが重要です。たとえば、高熱で口渇・
便秘がある場合に、陽が盛んで相対的に陰が衰えています。この場合の治療は陽が盛んで
あるのを抑えるために、熱をさます方法(清熱)と陰を補う方法(補陰もしくは滋陰)を用います。
逆に冬に長時間、寒い所におり、寒冷刺激(東洋医学では寒邪のこと)を受けると、手足や身体が
冷えて、関節痛やこわばりが生じてきます。これは、陰が盛んで(陰が過剰)相対的に陽が衰えて
いきます。この場合は、陰を抑えるために寒を取り去る方法(去法)と陽を補う方法(温陽もしくは
温補)を用います。
また伝統鍼灸医学では、経絡に流れる気や血の調整を治療原則としています。経絡には気血が
止まることなく流れており、休むことなく循環して、臓腑(臓器)と密接に関連することにより
人体を維持しています。外因や内因によって、臓腑や経絡が影響を受けると、経絡における気血
の流れが停滞したり、不足したりします。このため治療では異常のある臓腑や経絡を調整する
ために、鍼灸を施術して、経絡の運行状態の改善や気血の乱れ(不調和)を調えます。
臓腑と経絡は密接に関連しており、臓腑病のみ、経脈病のみと単独の病である場合は治療
しやすいです。一般的には、臓腑病と経脈病が併発すことが多いです。また気血津液と臓腑は
東洋医学の生理的機能として関係があるため、気血津液の病と臓腑病が同時に発することが
ほとんどです。先に記載した肝腎陰虚証(臓腑病)と気血両虚が同時に起こることがあります。
このため、治療ではどの病が主体であるかを明確にして、どの病から治療を進めるかを
見極めることが重要です。