2018/06/14 (更新日:2018/06/14)
【羅生門】レポート・感想文 提出はお早めに!宿題.COM@立川・東大和・小平・東京
『羅生門』を読んではじめに思ったのは「動物が多く出る」ことです。
といっても舞台は動物園でも未開のジャングルでもないので、出てくるといっても「例え」もしくは、小さな生物です。
「例え」でいうと、下人が羅生門の様子をうかがうときは「猫のように身をちぢめて」。そしてハシゴを登るときには「守宮のように足音を盗んで」との記述があります。
老婆についても動物の例えは見られます。
「肉食獣のような鋭い眼」「猿のような老婆」「鶏の脚のような、骨と皮ばかりの腕」など。
二人の様子が目の前に浮かぶような文章だと思いました。
また「例え」以外で用いられている「動物」も重要な役割を持っています。
羅生門で死人の肉をついばむカラスは、話のなかで「今はいない」と書かれています。
これは物語に設定された時間を暗示する効果があります。夕暮れよりも少し遅い時間の話であることが、この部分からわかるのです。
羅生門の柱にとまっているキリギリスも大事な脇役です。
下人がいろいろ考えをめぐらせたのち、キリギリスは飛び立ちます。これで時が経ったことを表しています。
さらに冒頭で羅生門には「狐狸が住む」とありますが、「狐狸」とはキツネやタヌキの意味のほかに「悪さをする人」という意味もあります。これから登場する老婆のことを予感させる単語です。
下人が見つけたクモの巣は、羅生門がさびれた場所であることを示しています。
老婆が髪を抜く女性は生前、蛇を「干した魚」だと偽り売っていました。
このように『羅生門』は動物が多く登場する小説です。
誰もが一度は見たことがあるような動物名を出すことで、情景を想像しやすい、読み手に優しい話になっていると私は考えました。
話は変わりますが、私が『羅生門』でいちばん印象に残ったのは、老婆の「死人の髪を抜くことは生きていくために仕方のないこと」という言葉です。
下人に問い詰められて出てきた言葉でした。
これを読んで私はこんなふうに「仕方のないこと」に追い込まれる前にあらかじめ手を打っておくことが大切なのでは、と思いました。
「仕方のないこと」というのはたいてい『羅生門』で描かれているように「最悪の選択」です。
下人が着物を盗むのも、女が食品を偽装するのも、老婆が死人の髪を抜くのも、できれば避けたい種類の行為です。犯罪あるいは人間的にやってはならないことだからです。
ここまで悲惨ではありませんが、私も「最悪の選択」を何度かしなければならないときがありました。
夏休みの宿題を最終日まで放置していたため、答えを写すことになりました。
こつこつ勉強していなかったため、テスト前日にヤマを張らざるをえないときありました。
また、スポーツでは先制されていると、終了時間直前にいちかばちかの攻めをしなければなりません。
『羅生門』の登場人物たちは事前に「先手を打っておくこと」をおろそかにしていたので「最悪の選択」である犯罪じみたことに手を染めなければならなかったのだと私は思います。
たぶん「先手を打っておくこと」を考えていればクビになったとしても、たとえば他の仕事を紹介してもらえたかもしれません。
だから私が『羅生門』から得た教訓は「物事は先を見通して早め早めに手をつけておくこと」です。
それができていなければ、『羅生門』のような世界が私を取巻いてしまうんじゃないかと危機感を持ちました。
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