2024/09/11 (更新日:2024/09/11)
痹証
痹証
痹証とは、季節や天候、湿度など環境要因が、関節や筋腱および経絡に影響を及ぼして起こる病
です。中国伝統医学では、風寒湿の3つの邪気が交じり合って、関節や筋腱などの罹患部や
経絡(罹患部から離れているところではあるが、経絡の流れが関連する場所)を侵襲して留まり、
気血の働きが失調して起こる。病邪の程度によって症状の性質も変化し、風邪に長くあたって
起こるもの(風邪を主とするもの)を風痹(行痹)、寒冷刺激が影響したもの(寒邪を主とするもの)を
寒痹(痛痹)、風雨に晒される・湿度が高い環境に長くいる・水に長くつかるために起こるもの
(湿邪を主とするもの)を湿痹(着痹)といいます。なお、風寒湿痹の慢性化によって炎症が強いと
熱痹になります{体内に気の流れが停滞して熱を発して生じる(内熱)}。その要因には、運動不足や
味が濃いもの・脂っこいものの食べ過ぎ・飲酒が多いなどがあります。
主な症状と所見
疼痛、しびれ、筋のひきつりやこわばり、運動制限があります(屈伸困難など)。
①風痹:遊走性の疼痛、②寒痹:疼痛の程度が激しい、温めると軽減する、
③湿痹:固定性の疼痛、腫痛、関節の重圧感、④熱痹:関節が紅く腫れる、熱が出て痛む、発熱、
悪風、口渇、胸悶などを伴います。
治療
風・寒・湿・熱痹に対する基本穴と、主訴の部位における局所配穴を用います。
①風痹:風邪を除去するために、外関、太衝、風池を用いて経脈の気の流れを良くし、血を巡らす
ために血海、膈兪などに鍼を用いていきます。
②寒痹:陰陵泉に鍼を行い、関元、命門、腎兪などに温灸を行って陽気を補います。
③湿痹:湿邪を除去するために陰陵泉、足三里、経脈の気の流れを良くするために外関、風市、風府
などに鍼を行います。
④熱痹:合谷、曲池、大椎、内庭などによって熱邪をさまします。
肩部を必要とする場合は圧痛部に鍼を行います。
局所配穴:局所配穴では経脈の走行との関連、圧痛の有無などを考慮して用います。
・脊柱部:身柱、腰陽関、爽脊、水溝、命門、腎兪、委中
・頸部:風池、天柱、完骨
・肩部:肩髃、肩髎、臑兪
・肘部:曲池、合谷、天井、外関、尺沢
・腕部:陽池、外関、陽渓、腕骨
・中手指節関節:二間、三間、液門、前谷、八邪
・股部:秼辺、承扶、風市、陽陵泉 大腿部:環跳、居髎、懸鍾
・膝部:犢鼻、梁丘、陽陵泉、膝陽関、陰谷、曲泉
・足部:申脈、照海、太溪、解渓、商丘、丘墟、崑崙
・中足趾節関節:公孫、太衝、衝陽、足臨泣、然谷、八風