2025/07/17 (更新日:2025/07/17)
変形性股関節症について
変形性股関節症とは -原因・症状・進行を防ぐセルフケアまで-
股関節の痛みや動かしにくさを感じていませんか?
それはもしかすると、変形性股関節症(へんけいせいこかんせつしょう)の初期症状かもしれません。
このページでは、変形性股関節症について詳しく解説し、進行を防ぐための考え方とセルフケア方法を紹介します。
■ 変形性股関節症とは?
股関節は「骨盤のくぼみ(臼蓋)」と「大腿骨の丸い骨頭」で構成され、体重を支える重要な関節です。
変形性股関節症とは、関節の軟骨がすり減り、骨と骨が直接ぶつかって炎症や変形が起きる状態です。
■ 主な原因
・先天性股関節脱臼や臼蓋形成不全(骨盤のくぼみが浅い)
・長年の関節への負担(加齢、肥満、姿勢不良、重労働)
・股関節周囲筋の筋力低下
・過去のケガや炎症
特に、日本人女性に多く、臼蓋形成不全を基盤として進行するケースが多数を占めます。
■ 症状の進行段階
1.初期:動き出しの痛み、立ち上がりや歩行時の違和感
2.中期:長時間の歩行で痛みが増す、足が上がりにくい
3.進行期:安静時の痛み、足の長さの左右差、関節の変形
4.末期:強い痛みと可動域制限、日常生活に支障をきたす
■ 早期発見のポイント
・「歩き始めだけ痛い」が続いていないか
・階段を降りるときにつらい感覚がある
・長く座ったあとに立ち上がるのがスムーズでない
これらはすべて初期症状のサインです。
「年齢のせい」と片づけず、早めの対応が重要です。
■ 進行を防ぐカギは「股関節の安定」と「柔軟性」
変形性股関節症は進行性の疾患ですが、正しい運動と姿勢管理で進行を遅らせることが可能です。
✔ 鍛えるべきインナーマッスル:
・中殿筋(骨盤を水平に保つ)
・腸腰筋(脚を持ち上げる)
・大腿筋膜張筋(股関節の安定化)
✔ ケアの方向性:
・股関節の過度な屈曲・捻転を避ける
・過体重のコントロール
・柔軟性の維持(特に股関節まわり)
■ 自宅でできる簡単セルフケア
① 中殿筋トレーニング(横向き脚上げ)
・横向きに寝て、上の脚をまっすぐ上げる
・10回×2セット
→ 骨盤と股関節を支える力を育てます
② 腸腰筋ストレッチ
・片膝立ちの姿勢で、骨盤を前に押し出す
→ 股関節前面の緊張をゆるめ、可動性を保つ
③ 椅子に座って太もも上げ
・膝を少し浮かせて、太ももを意識的に引き上げる
→ 負担をかけずに腸腰筋を刺激
■ 専門家による評価と対応を
痛みが出たときにやみくもに動かすのは逆効果になることもあります。
現在の股関節の状態を評価し、段階に応じた運動療法を受けることがとても重要です。
特に以下のような方は早めのご相談をおすすめします:
・40代以上で股関節に違和感がある
・家族に股関節の病歴がある
・一度脱臼や臼蓋形成不全を指摘されたことがある
■ まとめ
変形性股関節症は、「予防と初期ケア」がカギです。
正しく関節を使い、支える筋肉を鍛えることで、進行を食い止め、快適な生活を長く維持することが可能です。
小さな違和感のうちに、できることから始めていきましょう。
必要があれば、当院での評価・運動指導もご利用ください。