2024/03/19 (更新日:2024/03/19)
手のしびれはどこから?
橈骨神経麻痺
腕から手にかけて伸びている橈骨神経が何らかの原因で障害を受ける病態です。主な症状には橈骨神経支配筋の筋力低下や手のしびれ、指先の痛みがあり、生活の質を損なうことがあります。しかし、適切な治療とケアで改善することができます。
そもそも橈骨神経とはどこにあるのでしょうか?
首の部位の脊髄から存在する腕神経叢(わんしんけいそう)と言われる神経の束の1つで、鎖骨の下から脇の下、上腕の外側、肘の外側、前腕の背面を通り、手の背面まで達します。
橈骨神経のマヒが出現すると親指、人差し指、中指の手の甲から前腕の親指側の感覚の障害
橈骨神経のほかに、尺骨神経、正中神経、筋皮神経が腕神経叢より分布しています。
鑑別診断
・後骨間神経麻痺:後骨間神経が障害された場合、感覚の異常はありません。下垂手や下垂指の症状が出現します。感覚障害のない下垂手は後骨間神経麻痺を示唆します。
下垂手:手首より先がだらんとしていて、自分の力では手首を背屈できない。
下垂指:指から先が下垂手同様にだらんとし、指の背屈ができない。
・他の感覚障害:前腕から手首にかけての拇指側が怪我などで傷害を受けると、色々な感覚の障害が起こります。母指側の感覚障害が生じるが下垂手にならない場合、他の疾患を考慮します。
下垂手 | 下垂指 |
上腕中央部では橈骨神経が上腕骨のすぐ後ろを橈骨神経が通過するので、外からの圧迫を受けやすく、また、骨折などで橈骨神経が牽引、挫滅、切断などの傷害を受けやすい状況にあります。
後骨間神経はFrohse(フロセ)のアーケードという回外筋入口部の狭いトンネル部に入るのでその部は移動性がなく障害を受けやすいのが特徴です。
後骨間神経麻痺
後骨間神経麻痺では、下垂指(drop finger)になりますが、皮膚の感覚障害がありません。下垂指は、手首の背屈は可能ですが、手指の付け根の関節の伸展ができなくなり、指のみが下がった状態になります。
後骨間神経麻痺は下垂指と感覚の障害のないことで診断できます。確定診断には、筋電図検査、X線検査、MRI検査、超音波検査など必要に応じて行います。
症状の改善と治療
-
姿勢の改善: 猫背や巻き肩など悪い姿勢はストレートネックになる可能性があります。肩から首にかけての角度が直線となることで、首周りの神経を圧迫して腕のだるさやしびれ、痛みを引き起こします。普段から正しい姿勢を保ち、デスクワークや長時間の座り作業中に肩を回すなど適度な休憩を取りましょう。
- 運動療法: 筋肉や神経の機能を改善するため運動療法が効果的です。特定の運動やストレッチを通じて橈骨神経の機能を回復させることが期待できます。
- 薬物療法と手術: 症状が重度であれば、医師による薬物療法や手術の検討が必要です。手術は最終手段として検討され、橈骨神経の解放手術が行われることがあります。
- 専門家の診断: 改善が見込めない、早く治したい、姿勢を良くしたい方、長年同じ症状で悩んでいる方は、お気軽に当院にご連絡ください。