2024/03/12 (更新日:2024/03/12)

野球肩について

肩の症例, 首・肩

 

野球や他の投球スポーツにおいて、ボールを投げる反復的な動作や過度な負担によって引き起こされる肩関節周辺に起こる痛みの総称です。

肩関節は上腕骨頭の大きさに比べて関節窩は小さく、ゴルフボールとティーのように安定性に欠ける関節となります。そのため関節周辺の筋肉によって支えられています。

代表的な筋肉は腱板/ローテーターカフと呼ばれる、棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋の4つで、肩甲骨から上腕骨に付着しています。

投げる瞬間やボールが手から離れる瞬間に患部が痛む、投げ始めは痛みが出るがやっているうちに痛みが消える、練習中、もしくは練習後に痛みが出る、これらの症状がある場合は野球肩を疑います。

投球動作の基本

コッキング期→加速期→フォロースルー期の3つに分かれています。

・コッキング期:ボールを投げる構えから、肩関節を最大に広げている姿勢のことまでのことを指します。肩関節外転位・最大外旋位を強制されます。

・加速期:肩を広げた姿勢からボールを手から離すまでの期間を言い、スピードが乗っているため腕が伸びる際に肩や肘への負担が強くかかります。

・フォロースルー期:ボールが手から離れ、腕を振り下ろす動作で腕の重みにより引っ張られます。そこで関節包や腱板、筋肉の付け根に負担がかかります。

野球肩の種類

使いすぎや体の硬さ、誤った投球フォームにより肩関節に負担がかかり発生します。

・インピンジメント症候群(肩峰下インピンジメント)

 肩関節の痛みの中で代表的なものです。腱板や滑液包が、肩関節を動かしていく中で肩甲骨の肩峰や烏口突起などに衝突して、炎症や損傷を起こす症状です。野球以外にもテニスのスイングや水泳のバタフライなど、肩よりも腕を高く上げる動作が繰り返されることで発症します。

肩を上げていくときに、ある一定の角度で痛みや引っ掛かりを感じ、それ以上腕を上げられなくなるのが特徴です。

・ベネット損傷

 野球歴の長い選手、その中でも投手に多く、肩関節窩後下方に骨棘が形成され、肩関節後方に痛みが生じます。

・SLAP損傷

 肩関節唇という軟骨が繰り返しの動作により剝離、断裂してしまうものです。コッキング期に多いですが、加速期にもフォロースルー期にも発生することもあります。

・リトルリーガーズショルダー(上腕骨近位骨端線離開)

野球をやっている10~15歳の子供に多く発生し、骨端成長軟骨板の炎症や繰り返しの投球動作による上腕骨近位骨端線離開(疲労骨折)になります。

フォロースルー期での急激な上腕の内転・伸展・内旋により、骨端軟骨にねじれと牽引力が過剰にかかり発生します。

治療と予防

1. 症状の認識: 野球肩の症状には肩の痛み、可動域の制限、力の低下が含まれます。これらの症状が出たら、早期の治療が重要です。

2. 休息とアイシング: 負担をかけないようにするため、投球や肩への負担のかかる活動を一時中断しましょう。アイシングは炎症を軽減し、痛みを和らげるのに役立ちます。

3. 筋力トレーニングとストレッチ: 専門家の指導のもとで肩周りの筋肉を強化するトレーニングを行い、可動域を向上させましょう。ストレッチも重要で、柔軟性を維持することが肩の健康に寄与します。

4. 専門家の診断と治療: 症状が続く場合は、整形外科医や理学療法士の診断を受けましょう。個別の状態に基づいた専門的な治療計画が立てられます。

5. 予防と再発防止: 適切な投球フォームやトレーニングの重要性を理解し、予防策を取り入れましょう。また、症状が改善しても急激な活動再開は避け、リハビリプログラムを守りましょう。

野球肩の治療においては、早期の対応と適切なリハビリが不可欠です。自己判断せず、専門家のアドバイスを受けながら、健康な肩を維持しましょう。

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